心をつなぐ空と出会い――映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』　山崎光春

物語の主人公は、思い描いていた華やかな大学生活とは程遠い、冴えない日々を送る大学生・小西徹。萩原利久が演じる小西は、ある日、お団子頭が印象的な女子大生・桜田花（河合優実）に出会い、彼女の凛とした雰囲気に心を奪われます38。思い切って声をかけたことをきっかけに、偶然が重なり二人は急速に距離を縮めていきます。会話の中で桜田が口にした「毎日楽しいって思いたい。今日の空が一番好きって思いたい」という言葉は、小西の亡き祖母が大切にしていた言葉と同じであり、小西の心に深く響きます38。

しかし、幸せな時間は長く続かず、二人を予期せぬ出来事が襲います。小西のバイト仲間・さっちゃん（伊東蒼）や唯一の友人・山根（黒崎煌代）も物語に彩りを添え、登場人物それぞれの個性や悩みが丁寧に描かれています3。

公開記念舞台挨拶では、主演の萩原利久が「取材や宣伝など、半年間ずっとこの映画とともに過ごしてきたので、やっと公開の日を迎えられてうれしい」と語り、「一人でも多くの方にこの作品が届いてほしい」と思いを込めていました。また、イベントではキャストがそれぞれ自分のチャームポイントを披露。萩原は「バスケットボールがつかめるほど大きくて長い手」を自慢し、河合は「忘れっぽいところ」、伊東は「頬のえくぼのような部分」、黒崎は「濃い眉毛」と「低音ボイス」を挙げ、会場を和ませました。

本作は、誰もが抱える不安や孤独、そして小さな勇気が織りなす等身大の青春を、繊細な演出とキャストの自然体な演技で描き出しています。日常の中にあるささやかな幸せや、誰かと心を通わせることの尊さを、観る者に優しく問いかける作品です。原作ファンはもちろん、これから初めて触れる人にも、心に残るひとときを届けてくれるでしょう6。