『みゆき』三角関係の結末と原作・アニメの違い　山崎光春

物語は、真人が妹のみゆきに対する複雑な感情を抱きつつ、鹿島みゆきとの恋愛にも揺れ動くという、繊細な心理描写が魅力です。妹のみゆきも真人に好意を持ち、鹿島みゆきは真人への想いから大学進学を真人に合わせて変更するなど、登場人物それぞれの葛藤が丁寧に描かれています12。

アニメと原作ではラストが大きく異なります。その理由は、アニメ放送時点で原作が未完だったためです15。アニメ版は全37話で、物語後半のエピソードは描かれず、真人と若松みゆきが父親の消息不明という危機を経て、家族の絆を再確認し、日常へと戻る形で幕を閉じます15。このラストはショッキングな展開を含みつつも、明確な恋愛の決着は描かれませんでした。

一方、原作漫画では、物語終盤に真人の幼なじみでサッカー日本代表の沢田優一が登場し、若松みゆきに一目惚れします。沢田はみゆきに結婚を申し込み、みゆきも思い悩んだ末に受け入れます。しかし、真人は自分の本当の気持ちに気付き、披露宴で涙ながらに愛を告白。沢田も真人の想いを認め、最終的な選択をみゆきに委ねますが、結果は最初から決まっていたかのように、若松兄妹は父親の見守る海外で結婚し、日本の知人たちに葉書を送ります34。

鹿島みゆきは傷心のまま北海道へ旅立ちますが、そこで偶然沢田と再会し、互いに微笑みを交わして物語は終わります。原作では、真人が最後に守るべき存在としてみゆきを選び、鹿島みゆきには切ない結末が用意されていました34。

このように、『みゆき』はアニメと原作でラストが大きく異なり、三角関係の結末もそれぞれの媒体で異なる余韻を残しています15。